よくある質問
テレワーク全般
- テレワークとはどのような働き方ですか?
- テレワークとは、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務の3つに分けられ、インターネットなどのICTを活用した場所にとらわれない柔軟な働き方です。勤務場所に縛られずに仕事ができるため、通勤を含めた移動時間を短縮して効率化を図れたり、育児・介護など、ワーク・ライフ・バランスに有効な働き方となります。
- テレワークにはどのような効果がありますか?
- テレワークを導入した企業は、優秀な人材の採用につながったり、離職率が改善し従業員の定着率向上が図れるなど人材確保の面での効果のほか、オフィス面積の削減等や、交通費等の経費削減など、コスト効果も見込まれます。また、BCP 対策としても有効です。
従業員には、「家族と過ごす時間や趣味の時間が増えた」「自律的に仕事を進めることができる能力が強化された」「職場と密に連携を図るようになりこれまで以上に信頼感が強くなった」といった声が、アンケート等により確認されています。
- テレワーク導入に当たっては何が重要ですか?
- テレワーク導入に当たっては、
- 導入の全体像を把握し、導入のプロセスを理解すること
- テレワーク導入は、まずはできるところから始め、少しずつ範囲を拡大していくこと
- 全社横断的な部門や推進担当者によって推進体制を構築すること
- 全体方針の決定、推進に当たっては、経営トップ自らがテレワーク導入の意思を明確に示すことが重要です。
また、社内の現行制度やルールを維持したまま、できるところから、「対象者」「対象業務」「実施頻度」について決めて、トライアル(試行導入)を行い、少しずつ対象範囲を拡大するとよいでしょう。
- テレワークはどのような仕事に向いていますか?
- 現在、テレワークは多種多様な業種・職種で導入され、技術者、事務職、営業職、管理職等、幅広い層で実施されています。日本テレワーク協会が厚生労働省の委託を受け平成19年度に実施したテレワーク試行・体験プロジェクトの参加者は、男性が70%強を占めており、テレワークへの関心が高まっていることが分かります。年齢も50歳以上が14.6%にもなり、労働者全体のPCスキルの普及が進んでいることが汲み取れます。
- 在宅勤務を導入するとチームワークが悪くなったり、生産性が落ちませんか?
- テレワーク勤務の実証実験の調査によると、「テレワーク勤務によってチームの生産性が向上した」と回答した人が29%、「テレワーク勤務によってチームの生産性は変化しない」と回答した人が58%と、9割近くがテレワーク勤務は生産性に悪い影響を与えることはないと考えています。
また、1日のうち「業務に集中できる時間はどれくらいですか?」という設問に6割以上と回答した人の人数は、テレワーク勤務者がオフィス勤務者の1.8倍だったことからも、テレワーク勤務はむしろ生産性を高める効果があります。静かな空間でのリラックスした服装や雰囲気が集中力を高めることもあり、定型的な業務よりも創造的な業務のほうが顕著に現れます。
- 部下のマネジメント(勤務管理)が難しくなりませんか?
上司の監視が及ばない環境下で部下が手を抜いてしまいませんか? - テレワーカーから、メールや電話を通じた、テレワーク開始時/ 休憩時/ 終了時の連絡、業務日報、成果物の提出などを徹底することにより、マネジメント(勤務管理)を円滑に行うことが可能です。
基本的には、テレワーク実施日に、実施する仕事を明確にして、その成果をもって勤務評価をすることが重要です。なお、時間管理については、裁量労働制やみなし労働時間制を導入すれば、よりマネジメントが容易になります。但し、いずれの場合も、テレワーカーが深夜残業等により過重な労働とならないように管理する必要があります。
- 在宅勤務のスタッフを募集したい(求人を申込みたい)のですが、どうしたらよいでしょうか?
- 在宅勤務のうち、雇用関係のある在宅勤務の求人については、ハローワークに申込むことができます。ハローワークに申込まれた求人の内容は、全国のハローワークのほか、希望に応じてインターネット上にて公開され、在宅勤務で働くことを希望する方を広く募集することが出来ます。
求人の申込みの際には、求人条件の設定などについて詳細なやり取りをする必要があることから、できるだけ人事・採用等の責任者の方が手続きされることをお勧めします。詳しくはハローワークインターネットサービスをご覧下さい。
- 在宅勤務中に、外出する用事が出来た場合、どのようにしたらよいでしょうか?
- 在宅勤務中の外出については、外出中に事故にあった場合に、それが労災の対象になるかどうかといった問題が出てきます。会社によっては、在宅勤務中の外出を原則禁止としているケースもあります。また、どのような労働時間管理で在宅勤務をしているかも、関わってきます。通常の労働時間管理(例えば8時半から17時半までを勤務時間とし、それを超えた部分については割増賃金を支払う)の場合には、私用で外出することはできません。仕事に関係する外出(郵便局や宅配便の発送等)についても、会社のルールに従う必要があります。外出するにあたって、その旨上司等に事前連絡をし、労働災害との関わりあいについては十分注意を払いましょう。
執務環境・労災
- 執務環境はどのようにすればよいですか?
- 在宅勤務を行う場所やサテライトオフィスの環境は、労働基準に従った執務環境を整えなければなりません。とくに在宅勤務の場合は、働く場所が社員の自宅であるため、プライバシーに配慮しつつ、ルールをつくって執務環境を整えるようにします。
通常、在宅勤務時に整備すべきものは、執務用具であるパソコンや電話のほかに、専用の机、イス、照明、空調です。パソコンディスプレイに向かっての執務が多くなるので、在宅勤務者の疲労を軽減するよう、採光やグレア(まぶしさ)防止、騒音防止にも配慮が必要です。
また、モバイルワーク時に、人目のある場所で仕事をする場合は、覗き見防止フィルターをPCに装着するなどの配慮も必要です。
- 労災保険は適用できますか?
- テレワーカーには、通常の社員と同様に労災保険が適用されます。
但し、在宅勤務においては、就労時間内であっても、私的行為が原因であるものは、業務上の災害とはなりません。
また、モバイルワーカーの通勤災害適用についても、住居と就業の場所の間を合理的経路と方法で往復することが前提です。
いずれにしても、業務上災害と認定されるためには、業務遂行性と業務起因性の2つの用件を満たした上で、負傷や疾病が発生した具体的状況によって、地域の労働基準局において個別に適否が判断されることとなります。
導入
- 在宅勤務の導入を検討しています。どのようなことに注意すればよいでしょうか?
- 在宅勤務は目的を達成するための「手段」であり、在宅勤務の導入自体が「目的」ではないことをおさえておく必要があります。在宅勤務は、企業の働き方の「文化」や「哲学」といったものを変える可能性もあることから、「なぜ在宅勤務を導入するのか」その目的を明確にすることが最も重要です。
導入目的は今後の「全体指針」となり、導入プロセスにおいて重要な意味をもちますので、それぞれの立場で見解が異なるようであれば、在宅勤務のスムースな導入は難しくなります。したがって、共通の理解が得られるように、目的を決定します。
また、在宅勤務導入目的とあわせて重要なのは経営者からの強いメッセージです。経営者からの強いメッセージは、在宅勤務導入の推進力になります。「在宅勤務を導入することで、企業としてどのようなことを実現したいのか」というメッセージを経営者が発信し続け、本気でテレワーク(在宅勤務)に取り組む姿勢を示し続けることが、成功のカギです。
- テレワークで行う業務をどのように選定すればよいでしょうか?
- テレワークの対象となる業務を選定するには、業務全体の「棚卸し」を行い、テレワークで実施しやすい業務と実施しにくい業務を整理しましょう。業務の「棚卸し」は、例えば、次のような観点で行うことが考えられます。
- 業務にかかる時間 : その業務にどれくらいの時間がかかるか。
- 使用する書類 : 使用する書類はあるか。書類は紙媒体か、電子化されたファイルか。
- 使用するシステムやツール : アプリケーションやソフトウェアなど、必要なシステムやツールはあるか。
- セキュリティ、情報漏洩リスク : 業務上で取扱う顧客情報や個人情報があるか。
- 関係者とのコミュニケーション : 業務は何人で行うか。関係者とのやりとりの頻度はどのくらいか。
- テレワークの社内の基本方針やルールをどのように定めるべきでしょうか?
- テレワークに関するルールづくりには、次のような手順が考えられます。
- テレワークの対象業務や対象者の範囲を決定します。
テレワークの利用を希望するすべての従業員が、業務の種類にかかわらずテレワークを実施できることが理想ですが、新たにテレワークを導入する段階では効果検証がしやすいように、まずは小規模で開始し、対象業務と対象者を選定することがポイントとなります。 - テレワークを導入する場合には、就業規則などにテレワーク勤務に関する規定を定めておきましょう。
- テレワーク利用者とオフィス勤務者とが連携しやすいよう、コミュニケーションの方法などについて取り決めます。
- テレワーク導入に当たっての教育・研修をテレワーク利用者だけでなく、上司・同僚にも行うことが良いでしょう。この教育・研修によって、実施目的などについての認識を共有するとともに、テレワーク実施時の不安や疑問を解消します。
- テレワークの対象業務や対象者の範囲を決定します。
- テレワークの導入目的を明確化すべきでしょうか?
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テレワークの導入目的として、
- 事業運営面では、「人材の確保・育成」「業務プロセスの革新」「事業継続」
- 雇用面では、「育児・介護等の家庭責任を担う人材の離職抑制」「働き方の変革による生産性向上」「従業員のワーク・ライフ・バランスの向上」
- 社内の合意形成をどのように図るべきでしょうか?
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テレワーク導入に当たっては基本方針(テレワーク・ポリシー)を策定した後は、社内の合意を形成するために、以下のポイントが重要となります。
- テレワークの導入は、経営のトップダウンでスタートするのが理想的ですが、ボトムアップで始める場合には、推進者による起案を行い経営層の承認を取るというプロセスが必要です。
- 起案の際は、導入目的や対象業務、対象者や効果測定などのポイントを示します。また、トライアル(試行導入)を行う場合は、期間などを示します。経営層への説明の際は、テレワークが多様な経営課題の解決に役立つことを説明します。また、社内で普及が進むよう、導入に当たって経営層に期待される役割についても丁寧に説明します。
- 経営層は、テレワーク導入の意義を十分に理解し、自ら率先して、テレワークの目的や効果ついて社内に情報発信を行うことにより、従業員の意識改革を進めることが重要です。
- テレワークの導入に当たって、労使で認識に齟齬のないようにします。労使委員会などで十分に協議した上で、これを文書として保存するなどの手続を経ることが望まれます。労働組合がある場合は労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者との合意が必要です。
- 社内のセミナーなどを活用した情報発信やワークショップの開催による普及啓発活動を積極的に行うことが重要です。
- 在宅勤務をすると部下のマネジメントが難しくなると管理職が反対しています。
何か良い方法はありますか? - 管理職があらかじめ在宅勤務の方法について、在宅勤務者と共通の理解を持つことで、円滑なマネジメントが可能になります。
「自宅で業務を進めることができるのか」「誰も監視する人がいないため、さぼっているのではないか」という懸念から、在宅勤務に反対する管理職が多いのも事実です。このような場合には、管理職自ら在宅勤務をすることにより、在宅勤務に対する理解を深めることが重要です。実際に、家族に協力を依頼し、自宅で効率的に進める環境を整え、自宅でもさぼることなく仕事を進めることを体得することで、在宅勤務者が感じる「上長や同僚からさぼっているのではないかと思われないか心配」「オフィスに出社している同僚と話がかみ合わない」といった課題に対しても理解を深めることができます。
- テレワーク導入前に研修を行うべきでしょうか?
- テレワークによって、より高い効果を得るためには、社内の認識の共有を図るための啓発と、円滑に業務を実施するため導入時の教育・研修が欠かせません。テレワークを実施するための教育・研修は、集合研修やe ラーニングによって、テレワークの利用者だけでなく、利用者の周囲(上司・同僚)にも行うことが望ましいです。以下の3つがポイントです。なお、教育・研修はテレワーク導入計画に合うように実行することが望ましいです。
- テレワークの目的・必要性を理解すること
- テレワーク時の体制について理解すること
- テレワーク時のツールを操作できるようになること
支援制度
- テレワークを導入するに当たって、どこに相談すればよいですか?
- 札幌市働き方改革・人材確保サポートセンターでは、テレワークに関する専門の相談員がテレワークの導入に関する様々なご相談に無償で対応しています。テレワーク導入時の社内ルールの設定や労務管理のご相談、テレワーク用のICTや他社の導入事例のご紹介など総合的に支援します。
- テレワーク導入に関する助成金はどうすれば受給できますか?
- テレワーク導入にあたって受給できる助成金には、国や札幌市の支援制度があります。
時期により申請出来る補助金が異なりますので当センターへお問い合せ下さい。
なお、札幌市の補助金については「テレワーク導入補助金のご案内」よりご確認ください。
在宅勤務時の仕事の進め方
- 在宅勤務時の報告・連絡・相談はどのように進めれば良いでしょうか?
- 在宅勤務時は、日々の勤務時間の報告ばかりに目が行きがちですが、トラブルや課題等が発生したときにも、すぐに報告することを心掛けてください。連絡の方法にはメール等の文字情報が中心になりがちですが、電話やWEB会議など口頭による手段を柔軟に取り入れ、伝える内容や緊急度によって適した手段を採用するようにします。また、在宅勤務時においても、オフィスに出社している同僚の相談に乗り、協力しあう姿勢が重要です。
報告・連絡・相談は組織で仕事を進めていく上での基本で、在宅勤務においても同様です。報告・連絡・相談がしっかりされることで、職場内や関連部門とのコミュニケーションがうまくとることができ、仕事をスムースに行う基盤となります。
- 在宅勤務時にメリハリをつけて働くには、どうすればいいですか?
- 在宅勤務を行う人は、自分で仕事の時間や仕事の進め方をコントロールする必要があります。常日頃から公私の区別を明確にするような習慣をつけておくことが重要になります。仕事の時間帯を決め、始業・終業時刻、休憩時間を決めて守ること、また住宅事情にもよりますが、仕事用の部屋やスペースを作ることもメリハリをつける方法の1つです。 また、在宅勤務では、ついつい労働時間が長くなりがちです。在宅勤務を行ったために、かえって長時間労働になってしまったのでは、本末転倒です。終業時刻になったら、思い切りよくパソコンの電源を落とすことを習慣付けましょう。
- 在宅勤務中、オフィスにいる同僚と話がかみ合わない事があります。
何か解決策はありますか? - 離れた場所で電話や電子メールだけで、共通の理解をすることが困難なこともあり、在宅勤務時には、特に複雑な課題や問題について、電話や電子メールでやりとりするのがまどろっこしいときも確かにあります。
こうしたケースでは、翌日オフィスで時間をかけて議論をしよう、と割り切ることも重要です。
在宅勤務をしている当日中に相談をしたいというときには、お互いに同じ画面を共有し、遠隔地にいる人同士で議論を進めるITツールもありますので、そうしたものを利用することも有効です。
- 在宅勤務者宛の電話がオフィスに出社している人の負担にならないよう
何か工夫はできますか? - 在宅勤務中にオフィスにかかってきた電話をどのように処理をするのかはとても重要な問題です。 この課題を解決するためにいくつか方法があります。例えば、会社が仕事用の携帯電話を貸与し、取引先等にその番号を知らせておくことでオフィスに連絡が入らないようにしたり、または在宅勤務時はオフィスの電話を自動的に自宅の電話や携帯電話に転送するシステムを導入する方法もあります。できるだけオフィスで働く人に負担をかけないような方法を採用することが重要です。
- 在宅勤務について、家族の理解を得るにはどのようにすればよいでしょうか?
- 在宅勤務は私服で自宅にいることで、会社は休みなのではないかと思ってしまう家族が多いのも事実です。こうした問題を避けるためには、在宅勤務を始める前に家族の方に対して協力をお願いすると同時に、家族の方の了解を文書で取っているケースもあります。
また、家族が居る部屋とは異なる場所で仕事をするよう心掛けるといった工夫も必要です。自宅内に無線LANがあると、仕事をする場所をフレキシブルに変更することができます。
在宅勤務の実績が積み重なってくると、子どももそのことに理解を示すようになり、また在宅勤務の時には仕事が終わるとすぐに遊んでもらえる楽しみも増えるといった報告もあります。
- 在宅勤務の時に、会社からいつ電話が入るか分からず、かえって気が抜けませんが、
何か良い方法はありますか? - オフィスで仕事をする場合でも、少しの間席を外すことは通常の行動でもありますので、在宅勤務時にそこまで気にする必要はありません。オフィスにいても席を外して電話に出られないことはあります。電話のことばかり気にしていると、かえって業務に集中できないこともあります。むしろ電話を貰った後の対応が重要だと考え、電話ができる状態になったらすぐに折り返し電話をすることや、電子メールで連絡をとるように心掛けることが重要です。
情報通信環境・セキュリティ
- テレワークを実施するのに必要な情報通信機器はどのようなものですか?
- テレワークの具体的な情報通信環境として、①パソコン、タブレット、 スマホ等、②サーバまたはクラウドサービス③ネットワーク回線が必要で、これらを使って、テレワークを実現します。ネットワーク回線の種類には、公衆回線と専用回線があります。また、VPN と呼ばれる、公衆回線上に仮想的に作られた専用回線もあります。テレワークで利用する回線については、セキュリティの確保、通信量や速度などの制限、コスト条件等の確認が必要です。
- テレワーク導入のためのICT 環境の構築にはどのような方式がありますか?
- テレワーク導入のためのICT 環境の構築には、主に4 つの方式があります。
- リモートデスクトップ方式
- 仮想デスクトップ方式
- クラウド型アプリ方式
- 会社PC の持ち帰り方式
それぞれのシステムには、特徴があるので、現状で最も導入しやすいものを選択すると良いでしょう。
- セキュリティ対策にはどのようなものがありますか?
- 総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」によれば、セキュリティポリシー等の「ルール」、社員への教育・啓発活動等の「人」、システム的なインフラ整備等の「技術」の3つのバランスをとることが重要だと述べられています。テレワークは柔軟な働き方を手に入れることができる一方、情報セキュリティに対する十分な考慮と、適切な措置が必要です。 セキュリティルール策定に当たっては、総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」が参考になります。
- テレワーク時のPC等の手配はどうすればよいですか?
- テレワーク時のPCは会社支給(貸与)が望ましいです。自宅(私物)PCを利用する場合は、セキュリティ確保に留意する必要があります。
- テレワーク時のPCの通信費、エアコンの電気代の負担は誰が負担すべきですか?
- 通信費、電気代などの経費は原則会社が負担すべきと考えられますが、テレワーク時の通信費、電気代などを私生活での使用分と切り分けて正確に把握することは困難であるため、あらかじめ、取り決めをしておくことが重要です。在宅勤務手当などとして一定額を支給する事例もあります。
労働基準法第89 条第1 項第5 号では、「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項を就業規則に定めなければならない。」と規定されていますので、必要に応じて就業規則の変更をしなければなりません。
なお、就業規則の作成義務がない会社では、前述のことについて労使協定を結んだり、労働条件通知書で従業員に通知したりすることが必要です。
- 私物のパソコンを使用しても問題はないでしょうか?
- 万全なセキュリティ対策をしているテレワーク用アプリを正しく使用するなら、私物のパソコンを使うことも可能です。
このような私物の業務への利用は、BYOD(Bring Your Own Device)と呼ばれています。
リモートデスクトップ方式とBYOD を併用すれば、セキュリティは確保できます。
また、最近では、タブレットやスマホ上の業務アプリ(テレワーク用アプリ)向けのセキュリティ管理機能(セキュアコンテナ等)があります。
- サイバーセキュリティで気にすべきことはありますか?
- テレワークでの勤務は、オフィスのサイバーセキュリティの環境とは異なり、勤務先のシステム等へ外部からアクセスしますので、マルウェア(ウイルス)への感染リスクが高まります。
テレワークで使用するパソコン等(タブレット、スマートフォン)は、勤務先が導入したテレワーク専用のものであればサイバーセキュリティ対策が考慮されている場合がほとんどです。しかしながら、急遽、テレワークをすることになり、普段勤務先で使用しているパソコンや自宅のパソコンを使用する場合は、サイバーセキュリティ対策が十分とは言えませんので、特に注意する必要があります。
テレワークで勤務する場合のサイバーセキュリティ対策上の注意すべき点については、警視庁の「テレワーク勤務のサイバーセキュリティ対策」ページを参照ください。
労務環境
- テレワークのうち在宅勤務を導入する場合、
労働契約や就業規則を見直す必要はありますか? -
従業員の採用時に在宅勤務に関する明示がされていない場合、採用時に締結した労働契約の労働条件と異なった勤務形態になります。そのため、労働条件を変更する場合は、在宅勤務を導入する際の労働条件を明示し、企業と従業員との間で合意の必要があります。
また、一定の条件のもと、就業規則に定める労働条件を労働契約の内容とすることが認められており、就業規則の変更によって労働条件を変更することも可能です。ただし、一方的に労働条件を従業員の不利益に変更することは原則として許されておりませんので、在宅勤務の導入とあわせて、新たに人事制度・給与制度を導入する場合には注意が必要です。 テレワーク導入にあたって就業規則を見直す際には、厚生労働省の「テレワークモデル就業規則~作成の手引き~」を活用してください。
- テレワーク実施時でも労働基準法などは適用されますか?
-
在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務のいずれのテレワーク時においても労働基準法などが適用されます。特に、自宅でのテレワークについては、次の事項に留意してください。
- 労働条件の明示
- 労働時間の把握
- 業績評価・人事管理等の取扱い
- 通信費・情報通信機器等の費用負担
- 社内教育の取扱い
- テレワーク時にはどのように労働時間を管理すればよいですか?
- テレワーク時には、従業員が通常の勤務と異なる環境で就業することになります。そのため、労働時間の管理方法について確認し、ルールを決めておくことが必要です。
労働時間の管理には、①勤怠管理(始業・終業時刻の管理)と ②在席確認(労働時間中に適正に業務が行われているかを管理)の2 つの観点があります。始業・終業時刻の報告や記録の方法は労使間であらかじめ決めておきましょう。在席確認は、スケジュール管理ツールと一緒にプレゼンス管理ツールを活用することで、現在、在席しているか否か、どこにいるかの状況も把握できるようになります。ただし、目標管理制度が適正に運用され、1 日単位の業務の推進状況の管理が必要でないという場合や、商品・事業企画などの業務では、必ずしも在席管理が適合しない場合もあります。
労務管理ツールについては、日本テレワーク協会の「テレワーク関連ツール一覧」を参考にしてください。
- 労働時間の把握にはどのようなツールを活用できるのでしょうか?
- 労務管理ツールとは、勤怠管理( 労働時間の管理) や業務管理( 業務遂行状況の把握) などを適切に行うために用いるツールのことです。また、スケジュール管理ツールと一緒にプレゼンス管理ツールを活用することで、現在、在席しているか否か、どこにいるかの状況も把握できるようになります。 さらには、コミュニケーションツールや情報共有ツールの活用方法によっては、労務管理の機能を代替することができますが、従業員と上司が互いに安心して業務状況を共有できるツールを選ぶことが重要です。 ツールの選定は、テレワーク協会の「テレワーク関連ツール一覧」を参考にしてください。
- 労働者の都合に応じた所定労働時間の変更は可能でしょうか?
- 原則的な労働時間制度(1 日8 時間、1 週40 時間)で働く従業員が、育児・介護など私用のために所定労働時間を柔軟に変更できるようにすることで、育児・介護などとの両立に資することができます。
ただし、あらかじめ就業規則に規定しておくことが必要で、企業が所定労働時間を一方的に変更することはできません。
- 自宅でテレワークを行う場合、「事業場外労働のみなし労働時間制」を
利用できる要件はありますか? - 事業場外みなし労働時間制を導入する場合、就業規則に事業場外みなし労働制に関する労働時間の規定がない場合には、就業規則を変更し、所轄労働基準監督署に届出をする必要があります。また、事業場外みなし労働時間制については、モバイル勤務に適用可能なケースと、在宅勤務に適用可能なケースがあり、条件に違いがあるので、詳しくは、厚生労働省の「情報通信技術を利用した事業場外勤務(テレワーク)の適切な導入及び実施のためのガイドライン」を参照してください。
- 人事評価制度を変える必要がありますか?
- 電話、電子メール、チャット、テレビ会議・Web 会議、音声・ビデオ通話などを、企業の規模や業務の状況に応じて柔軟に使用し、日々の業務の成果や進捗状況を把握することによって、従来どおりの業務評価が活用できます。そのため、テレワーク導入時に必ずしも人事評価制度を変える必要はありませんが、テレワーク労働者が、業績評価等について懸念を抱くことのないよう留意してください。
もし、業績評価や人事管理に関して、通常の労働者と異なる取扱いを行う場合には、あらかじめテレワークを選択しようとする労働者に対して当該取扱いの内容を説明することが必要です。
- テレワーク時の健康管理や安全衛生対策はどうすればよいですか?
- 「在宅勤務」については、働く場所が従業員の自宅ではありますが、作業環境が整備されることが望まれます。テレワーカーはパソコンのディスプレイを見て仕事をすることが多いので、「VDT 作業における労働衛生管理のためのガイドライン(平14.4.5 基発第0405001 号)」などに留意しつつ、労働者が支障なく作業を行うことができるよう、在宅勤務に適した作業環境管理のための助言等を行うことが望まれます。
労働安全衛生法では、テレワークを行う労働者も含め、常時使用する労働者に対しては、雇入時の安全衛生教育の実施や雇入時及び定期の健康診断やその結果に基づく事後措置、長時間労働者に対する面接指導、ストレスチェック(常時50 人以上の労働者を使用する事業場に義務付け)及び労働者の申出に応じた面接指導等が義務付けられています。「立ち寄りオフィス勤務」、「サテライトオフィス勤務」についても、労働安全衛生法令に沿った作業環境を整えるとともに、健康管理対策を行わなければなりません。